梅毒
性行為やオーラルセックスから数週間〜数ヶ月経ってから以下のような症状が出ている場合、梅毒(梅毒トレポネーマ感染症)の可能性があります。
梅毒とは
梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌が原因で引き起こされる全身性の性感染症です。
粘膜や皮膚の小さな傷口から侵入し、血流に乗って全身へ広がります。
「症状が出ても一時的に自然消失する」という特徴があり、治ったと勘違いして放置すると体内で進行し、将来的に脳や心血管系に重篤な合併症を引き起こすことがあります。
近年、男女ともに急増している感染症であり、早期発見・早期治療が極めて重要です。
梅毒の主な症状
感染からの時期(病期)によって症状が変化します。
- 第1期(感染後 約3週間〜3ヶ月):感染部位(性器・口・肛門など)に痛みのないしこり(初期硬結)や潰瘍(硬性下疳)が出現し、鼠径部のリンパ節が腫れます。放置しても数週間で一度自然に消失します。
- 第2期(感染後 約3ヶ月〜3年):手のひら・足の裏・体幹に痛みやかゆみのない赤い発疹(バラ疹)や扁平コンジロームが出現します。
- 無症候性梅毒(潜伏梅毒):明らかな自覚症状がない状態です。症状がなくても血液中に菌が存在し、他者へ感染させるリスクがあります。
症例画像
▼ 第1期の症状(感染後 約3週間〜3ヶ月)
初期硬結(痛みのないしこり)
硬性下疳(潰瘍・えぐれ)
▼ 第2期の症状(感染後 約3ヶ月〜3年・全身症状)
バラ疹(手のひら・体幹の発疹)
梅毒性丘疹(盛り上がった発疹)
扁平コンジローム(平らなイボ)
梅毒性脱毛症(虫食い状の脱毛)
梅毒の検査方法
梅毒の診断は血液検査(抗体検査)で行います。
採血を行い、梅毒の活動性を測る「RPR」と感染歴を測る「TP抗体」を調べます。
ウィンドウピリオドが長く、感染していても検査が陰性になることも多いので注意が必要です。
- 精密血液検査(RPR+TP抗体):現在の活動性と治癒判定を正確に評価(翌日のご報告)
- 即日血液検査(TP迅速抗体):最短20分程度で感染歴の有無を判定(※確定診断・活動性の評価には精密検査を推奨)
梅毒の治療法
ペニシリン系抗菌薬による治療を行います。
現在は1回の筋肉注射で治療が完了する注射薬(ステルイズ)が主流となっており、飲み忘れによる治療失敗を防ぐことができます。
- 筋肉注射治療:臀部筋注1回(早期) 後期は3回
- 内服治療:ペニシリン系抗菌薬を2〜4週間内服
治療後の再検査・治癒確認
- 推奨される定期血液検査のタイミング:治療後4週間後以降
- 梅毒は治療後もTP抗体が陽性のまま残り続けるため、血液中の「RPR抗体価(活動性の数値)」が十分に低下したかどうかで治癒を判断します。
梅毒感染時の注意点
- パートナーとの同時検査・治療:お互いにうつし合う「ピンポン感染」を防ぐため、パートナーの方も無症状であっても必ず同時に血液検査を受けてください。
- 性行為の禁止:病変が完全に消失し、医師による治癒・感染力消失の確認が取れるまでは性行為(オーラルセックス含む)はお控えください。
- 治療初期の発熱反応(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応):注射や内服の開始後数時間〜半日程度で、急な発熱・倦怠感・発疹の悪化が一時的に現れることがあります(通常は1日程度で自然に治まります)。
費用
- 保険診療:検査と治療で3000円程度
- 自費診療:検査と治療で25000円程度
東京プレイヤーズクリニック 院長
河野 太郎 Taro Kono, M.D.
年間1万人以上の性感染症診療を行っている。性感染症の予防、早期発見・早期治療に注力。エビデンスに基づいたわかりやすい医療情報の発信を心がけています。
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